日本初の小説創作ハッカソン大盛況のうちに終了――NovelJam(ノベルジャム)開催 参加者30名が2日間で小説創作から電子書籍の発売まで行う 開催報告

NovelJam 2017 集合写真
Photo by 加藤甫

 インディーズ出版を盛り上げる活動を展開する、日本独立作家同盟が主催した日本初となる創作イベント「NovelJam(ノベルジャム)」が、去る2月4日(土)~2月5日(日)に開催されました。

 ほとんどが初対面、ましてや一緒に小説を書くのは初めてとなる著者20名と編集者10名が、原則として3人1組(10チーム)で、企画から執筆・編集・電子書籍の制作・発売まで行うというものです。事前の30名の募集枠に対して80名以上の応募があり、厳正な審査を行いました。参加者の皆さんのモチベーションは非常に高く、2日間会場は熱気に包まれました。

 イベント1日目は、著者チーム、編集者チームにわかれ、創作に先だっての特別講演が行われました。著者チームには藤井太洋氏、編集者チームには三木一馬氏が創作の極意を伝授。その後の創作に大きな刺激と確かな指針を授けて頂きました。イベント中は、プロット、初稿、第2稿、完成稿という具合にチェックポイントを設け、各チームは時間内に成果物を完成させられるよう努めました。編集者は著者の創作をサポートしながら、並行してデザインチームとの打ち合わせも実施。作品世界を表現する魅力的な表紙作りも行われました。

 2日目の原稿完成後は、NovelJamスポンサーでもある株式会社BCCKSによる電子書籍セミナーも実施。各チームは、実際に電子書籍ストアでの作品の発売までを行いました。2日間で生まれたのは17作品。合計すると約12万字となる大ボリュームの作品たちを、審査員の藤井太洋氏、米光一成氏、海猫沢めろん氏らが読み込み、優秀作品への表彰も行いました。

【審査結果】

NovelJam 2017 最優秀賞作品:『原稿は来週水曜までに』

NovelJam 2017 最優秀賞作品:『原稿は来週水曜までに』

新城カズマ(著) 賀屋聡子(編) 松野美穂(アートディレクター) kasuga(デザイン) 有田満弘(イラスト)
http://bccks.jp/bcck/147597

NovelJam 2017 優秀賞作品:『PAUSA』

NovelJam 2017 優秀賞作品:『PAUSA』

澤俊之(著) 波野發作(編) 松野美穂(アートディレクター) 亀山鶴子(表紙デザイン・イラスト)
http://bccks.jp/bcck/148608

NovelJam 2017 藤井太洋賞作品:『輝家魔法的肉包子店』

NovelJam 2017 藤井太洋賞作品:『輝家魔法的肉包子店』

かずはし とも(著) 藤澤千尋(編) 藤沢チヒロ(装画・デザイン)
http://bccks.jp/bcck/148611

NovelJam 2017 米光一成賞作品:『スパアン』

NovelJam 2017 米光一成賞作品:『スパアン』

米田淳一(著) 波野發作(編) 松野美穂(アートディレクター) 有田満弘(表紙イラスト) 波野發作(表紙デザイン)
http://bccks.jp/bcck/148607

NovelJam 2017 海猫沢めろん賞:『老人とプログラム言語』

NovelJam 2017 海猫沢めろん賞:『老人とプログラム言語』

松永肇一(著) 賀屋聡子(編) 松野美穂(アートディレクター) kasuga(デザイン) 有田満弘(イラスト)
http://bccks.jp/bcck/148599

NovelJam 2017 日本独立作家同盟賞:『世界を救っても恋は実らない』

NovelJam 2017 日本独立作家同盟賞:『世界を救っても恋は実らない』

マテバ牛乳(著) 高橋文樹(編) 松野美穂(アートディレクター) 亀山鶴子(デザイン) jitari(イラスト)
http://bccks.jp/bcck/148616


 これらの受賞作を含む全作品は、「BOOK☆WALKER」やアマゾン「Kindleストア」などでも販売され、ランキングではあの『火花』を超えるものも現れるなど好評を博しています。開催前は「ハッカソン方式で本当に小説創作が可能なのか?」という不安の声もありましたが、関係者の多大なるご協力のおかげで充実したイベントとなりました。

著者と編集者が打ち合わせ(撮影:加藤甫)
著者と編集者が打ち合わせ(撮影:加藤甫)

指摘が入った原稿(撮影:加藤甫)
指摘が入った原稿(撮影:加藤甫)

作品審査の様子(撮影:加藤甫)
作品審査の様子(撮影:加藤甫)

作品プレゼンの様子(撮影:加藤甫)
作品プレゼンの様子(撮影:加藤甫)

 参加者のみなさま、協賛社のみなさま、関係者のみなさま、ほんとうにありがとうございました。日本独立作家同盟では、これからもNovelJamをはじめとしたインディーズ出版を盛り上げる活動に取り組んで参ります。

NovelJam公式サイト

記事

3月21日東京新聞夕刊5面文化欄

参戦記

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