※2015年10月2日追記:内容が古くなってきたので、群雛ポータルにてアップデート版を公開しました。
本を作る手段や、配信(無償)・販売(有償)するためのプラットフォームはいろいろあります。しかし、無名の個人作家が最も困るのは、自分の作品をどのように宣伝していけばいいのか? という点ではないでしょうか。Kindleストアに登録しただけでは売れないというのが現状です。本稿では、個人作家が利用可能なプロモーション方法について、無償のものから有償のものまでざっくりとまとめてあります。
1. ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用する
大半のSNSが基本サービスは無料なので、手軽に使える手段です。売っている場所をSNSへ投稿して告知するという、「手売り」感覚だと捉えると分かりやすいでしょう。主なSNSは以下のとおりです。
上から順に、ICT総研による「2013年 SNS利用動向に関する調査」で利用率が高いサービスですが、カカオトークとcommは除外し、tumblr.を追加してあります。世間一般での利用率が高くても、不特定多数に向けたプロモーションが苦手なサービスもあります。例えば、電話の普及率は非常に高いですが、電話でプロモーションをするには、1件1件電話をするしかない、といった具合です。基本的に閉じたネットワークである、Facebook、LINE、mixi、Skypeは、不特定多数に向けたプロモーションが苦手なSNSだと言っていいでしょう。ただ、Facebookとmixiにはそれぞれ、Facebookページ、mixiページという、プロモーションを目的としてオープンな形で利用できる手段も用意されています。基本的にオープンなネットワークで、フォロー関係が非対称な、Twitter、Google+、tumblr.、Facebookページ、mixiページは、不特定多数に向けたプロモーションが比較的やりやすいです。ユーザー層は、重複していない場合も多いので、複数利用する方が効果的でしょう。問題は、自分の投稿を見る目的で繋がっている人の数(フォロワー数や「友だち」の数)の多さによって、影響力の大きさが変わるという点です。一朝一夕にフォロワー数は増えませんので、増やすための努力が必要になります。名前が知られていないなら、知ってもらうための努力をするしかないのです。当然のことながら、選挙カーのように名前を連呼するだけでは全く無意味です。「買って下さい!」という直接的なプロモーション活動以外の、地道な積み重ねが必要です。それは、他者にとって何かしら有益な情報を発信し続けることです。面白い、役に立つ、興味深い情報を発信し続けている人の周囲に、人は自然と集まってきます。「リツイート」「シェア」「共有」などの、システム的に直接フォロー関係ではない人にも投稿が拡散される手段も用意されていますが、拡散してくれるかどうかはフォローしてもらっている相手次第です。当たり前の話ですが、投稿に「拡散希望」と書いても、拡散してもらえるとは限らないのです。また、SNSにはたくさんの投稿が文字通り「流れている」状態(フロー)なので、フォローしている人が自分の投稿を見落としてしまう可能性も高いです。はっきり言って、メールのような1対1に近い手段の方が、読まれる可能性としては高いです。ただ、不特定多数に情報が拡散されるという意味では、SNSは強力な武器となります。
2. ブログを利用する
ブログも、大半が基本サービスは無料、オプションが有料という形なので、手軽に使える手段です。記事は蓄積されていく(ストック)ので、ベースキャンプとかホームグラウンド的に利用するのがいいでしょう。HTMLタグやCSS、JavaScripなどを用いて、SNSより複雑なことができるのも利点です。主なブログサービスは以下のとおりです。
基本サービス(無料)で、HTMLの編集やJavaScriptの利用に制限がないところを挙げています。販売プラットフォームなどが、ブログなどに貼り付けるコード出力機能を用意している場合が多いためです。例えば、以前ここで紹介した制作・配信・販売プラットフォーム「ブクログのパブー」では、JavaScriptコードを貼り付けることによって以下のような表示が可能です。
FC2ブログは制限が緩いので、成人向けコンテンツが非常に強いです。このブログは、私が使い慣れているBloggerを使っていますが、運営元のGoogleはエロに不寛容なので、成人向けコンテンツを扱うなら避けた方がいいと思います。tumblr.は、ブログとしても使えるという点がユニークなので、この項でも挙げておきました。本の制作環境のことも考慮に入れるのであれば、livedoorブログは有料オプションを契約すれば記事がEPUBで出力できるというのが魅力的です。システムに詳しい方であれば、サーバーをレンタルして、WordPressを使うというのも手でしょう。WordPressで書いた記事をEPUB出力できる、BookPressというサービスもあります。ブログの記事が読まれるには、SNSなどで拡散されることによる瞬発的なアクセスと、Yahoo!やGoogleといったサーチエンジンから検索キーワードによる流入があります。はっきり言って、ブログを始めて数ヶ月で月間100万PVなんてまずあり得ない話ですから、SNSと同様にブログも日々の地道な積み重ねが重要です。つまり、有益な情報を発信し続けるしかないのです。ただ、SNS(フロー)とブログ(ストック)の両方を運用することによって、相互補完を図ることはできます。それぞれの特徴を活かしましょう。
3. 宣伝・告知をしてくれるサービスやウェブサイトを活用する
販売プラットフォーム以外で、宣伝や告知を手伝ってくれるサービスやウェブサイトもあります。例えば、日本独立作家同盟でも、新刊情報やキャンペーン情報の配信を行っています。
つんどく速報では、自薦・他薦を問わず、個人出版のおもしろい作品を募集しています。旧サイト名は「キンドる速報」でしたが、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)限定ではないようです。きんどるどうでしょうでは、Kindle本の無料キャンペーン告知依頼を受け付けています。こちらはKDP限定です。また、無料キャンペーンを行うには、Kindleストア独占配信にして、KDPセレクトの登録をする必要があります。
どちらも、ふじいまさなり(ふじーにょ @fujinyo)氏が運営しているサービスです。電子書籍サーチは、複数の電子書店を横断検索できるサービスです。基本的に情報は自動登録されているのですが、著者自身の手で修正することが可能です。表紙画像を入れたり、概要文やカテゴリの修正、著者自身の情報などが登録できます。2冊目以降の登録は、有償会員向けとなります。電子書籍献本サービス「KENPON」は、電子書籍作品の告知・PRを目的とした献本配信サービスです。無料版は最大30件でPDFのみ、配信先メールアドレスを自分で入力する必要があります。有料版は、配信対象が電子書籍サーチの登録会員で、最大100件、PDFとEPUBの配信が可能です。
どちらも有料の、いわゆる「リスティング広告」です。検索エンジンで入力されたキーワードを元に、表示された広告のクリック数に応じて料金が決まります。予算の上限設定なども可能なので、比較的低予算で効果的な宣伝広告を行うことができます。ただし、キーワードの選び方や、表示する宣伝文句にも工夫が必要ですKindleストアを始めとする販売プラットフォームには「ランキング」があり、ランキング上位になると目立ちやすいため、販売数が飛躍的に伸びる傾向があります。「Gene Mapper」の藤井太洋氏が、ブレイクする前のプロモーション手段として用いていたというのは、見逃せない事実でしょう。